前書き
プロが撮影した綺麗な写真だけでは集客に繋がらない。そんなケースが多々あるのをご存知でしょうか?自分が撮影した写真を自分やクライアントが見て「良い写真だ!」と思っていても、それが集客に繋がるかどうかは別問題です。
プロが撮った写真は良い写真に見え、プロがデザインしたものは見た目の印象は良く見えます。それはきっと、ほとんどの方が感じることです。僕自身、プロの作品を見てクオリティが高いかどうかと問われれば、ほぼ100%良いと答えるでしょう。ただ、見た目が良いからそれが集客に繋がり売上アップに繋がるというわけではありません。ではなぜ、プロが制作したのに集客に繋がらないケースがあるのか?理由は3つあります。
①集客設計の議論が足りていない
1つ目は、情報発信の前段階である集客設計を考えいないケースが多い為です。写真撮影を行うということは、その写真を何かに使うはずです。
HP
チラシ
ポスター
WEB広告
SNS
いろいろあると思いますが、例えばHPを例に挙げてみましょう。HPを新しくするので、そのHP用の写真を撮影してほしいという依頼は多いです。しかし、そのHPからどう売上を上げるのか?という集客設計はあまり議論されていません。
もちろん、そのHPで集客をあまり考えていないというケースも多くあるかと思います。しかし、HPから集客を考えているのであれば、例えば
- 100人のアクセスで1人の問合せ
- 5人の問合せのうち1件を成約
- そして月5件の成約
を目標にした場合はアクセスは2500必要になり、そのアクセス数はどこから得るのか?ということまで考えないといけません。
検索からアクセスの流入を目指すなら、SEO対策(狙ったキーワードで検索されて上位表示させる為の対策)が必要で、これを一朝一夕で行うのは難易度がとても高いです。余程SEOに詳しく、その業界に詳しくて適切な記事を書ける有能なライターがいれば話は別ですが、そのライターに依頼したとしてもかなり予算を覚悟する必要があります。もしHPの制作を依頼した会社のスタッフが記事を書くなら、記事の書き方から勉強し、自社の業界についてもさらに勉強し、毎月コツコツと良質な記事=コンテンツを書き溜めて数ヶ月かけてコンテンツを制作していかなくてはいけません。
予算があるならWEB広告を利用することが可能ですが、その広告費を無駄にしない為にも費用対効果が一番高い媒体はどれなのか?という議論から始まり、媒体が選ばれれば何度もテストを繰り返して低コストで良質なアクセスの流入を目指していきます。
SNSから集客する場合は、写真の良し悪しがそのまま反応率を左右するので、どんな写真が必要かを考えなければいけません。
つまり、HPを作る前段階の議論を行い、アクセス源になるSEO対策に必要なコンテンツ用の写真や、WEB広告に必要な画像、SNS用の写真も揃えていかないといけません。なので、HPのデザインを良くして綺麗な写真を乗せても、アクセス動線が未熟な為自己満足で終わってしまうケースが多々あります。
②写真とデザイン以外の要素
2つ目は、写真は情報発信における素材の1つでしかないからです。情報発信では、写真だけでなくデザインや文章といった要素もある為、写真だけ良くても集客の効果は半減します。なので、
写真
デザイン
文章
この3つの要素のうち、なるべく全ての要素の平均点を底上げしなければいけません。よくあるのが、誰が見ても写真とデザインは良いのになかなか集客できないケースです。これは、主に文章の力が弱い、又は読者とのミスマッチよって起こる現象です。文章が良ければ、写真が普通、デザインは最低限の見易さであっても成約率を高めることができます。
実際に、僕が自分で作ったオンライン写真講座の申し込みページは、特別良い写真を使っているわけではなく、特別デザインが良いわけではありません。しかし、文章が売れる文章設計法に沿って書かれている為、申し込み率は2%を維持しています(一般的に、ブランドが無く指名買いではないセールスページ申し込み率の合格ラインは1%と言われています)。
③プロの写真だから反応率が下がるケース
3つ目の理由は、プロの写真だから反応率が上がるというわけではないからです。
こちらの記事でも詳しく解説していますが、近年の消費者はプロの写真が作り込み過ぎて嘘っぽく見えてしまう現象が目立ってきています。つまり、情報を届ける際にプロが綺麗に撮影した写真だと逆効果になるケースもあるのです。
これは情報の真実味がないという捉え方ができます。例えば、若い女性が服を探す時はカタログやブランドのネットショップを見るのではなく、インスタグラムで検索し普通の人が撮っている写真を探します。そして、メルカリを使って商品を検索して購入という人が増えています。
その理由として、
カタログやネットショップの画像は、モデルの綺麗なお姉さんが着ていて非現実的。自分に合うかどうかが参考にならない。一方、インスタグラムやメルカリでは一般人が写真を撮る為良い意味で誤魔化せないから参考になる。(出典:http://appmarketinglabo.net/insta-mercari/)。
ということらしいです。もちろん、全ての商品やサービスにおいてプロの写真が逆効果になるというわけではありませんが、扱う商品によっては提供する写真の雰囲気はとくに注意が必要になります。
また、プロの写真が逆効果になるケースは主にSNSです。SNSは、基本的に知人や好きな人の情報を受けとりコミュニケーションをとる場所です。そのSNSでは、企業の公告が表示されることに嫌気がさすようなユーザーも少なくありません。その為、プロが撮られた写真は公告と認識し無視されてしまうケースがあります。
適材適所で必要な写真を
ただ綺麗な写真を撮ればいいと考えていると、蓋を開けてみればあまり集客できないという状況になりかねません。まずは、どういう目的での写真が必要なのか?そこを、撮影者も依頼主も明確にしておく必要があります。
また、媒体や商品によってはプロがしっかり撮ったという雰囲気を出さない方がいいでしょう。あえてストロボライティングなどは行わずに、その場の環境を活かして撮影する方がリアル感が伝わり反応率が上がっていきます。
一昔前なら、ライティングを駆使してクオリティの高い写真を撮るのがカメラマンの仕事でしたが、今後は適材適所でクライアントの用途に最適な写真を撮ることもカメラマンの仕事になっていくことを理解しておかないといけません。
売上アップに繋がる写真は、まず適材適所の写真です。各集客段階での適材適所、各媒体での適材適所を考えて、写真を上手く活かしていきたいですね。