カメラマンの知恵

カメラマンの方に役立つ話を書いていきます

今後カメラマンの仕事がどんどん減っていく3つの理由



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カメラマンと一言で言っても業種が様々なので一概に言えませんが、

 

5年後の時代の変化に敏感になれないカメラマンは近い将来ほぼ廃業するのではないか

 

最近の僕は常々そう考えていますが、先日その考えを更に強めてしまうような記事を見つけました。

 

 

要約すると、

 

フォロワー1万人以上の 人気インスタグラマーが撮る 「インスタグラマーブツ撮り出張サービス」がすこぶる好調。

 

サービス内容は・小物準備費・構図のご提案・交通費・画像修正など、全部コミコミ98,000円(指名なし・税抜)、128,000円(指名あり・税抜き)でご提供(時間の目安は2時間〜2時間半納期が短い場合、撮影場所が遠い場合は別途費用がかかる場合も)。

 

ということです。この記事のタイトルにある、

 

素人の写真がプロの20倍以上の値段で売れる理由

 

この20倍という数字はいちいち反応する必要はないと思いますが、この記事には「今後カメラマンの仕事がどんどん減っていく3つの理由」を読み取ることができます。

 

①消費者の求める写真に変化が起きている

 

こちらの記事では、「素人感のあるナチュラルな写真」を使うメディアや広告代理店が増えているという内容が書かれています。もちろんカメラマンでの中でも業種が様々なのでケースバイケースではありますが、とくにブログやSNS等は広告写真ばかりではなくナチュラル感のある写真が好まれます。

 

なぜナチュラル感のある写真が好まれるのか?その理由は2つあります。

 

1つは、SNS等が元々自分の繋がりのある人との交流の場、情報交換の場になっているからです。その為、広告等に好感を持たない人が多いのも特徴の1つとなっています。

 

 

こちらの記事でも触れられていますが、Facebook広告ではプロの写真と一般の方の写真のABテストを行うと、一般の方の写真の方が反応率が良いという結果が多くのケースで確認されたということです。

 

先ほども触れたようにSNSは交流の場です。そこに広告っぽい投稿が流れてくることに嫌気がさしているユーザーも多く、実際に無視されやすいという現象が起きていると思われます。

 

2つ目は情報の真実味です。簡単に言えば、プロの写真は嘘っぽく見えてしまうということですね。

 

 

こちらの記事の中の女子大生の発言を要約すると、

 

  • 通販サイトの綺麗なモデルさんの写真は確かに綺麗で、その服がモデルさんには似合ってるけど参考にならない。
  • メルカリ等は写真が下手なのが逆に良い。なぜなら、素人の写真は嘘をつけないから。楽天の写真だと、手元に届いて「思っていたのと違う」という時がある。汚い写真は嫌だけど、変に盛ったり加工しないでほしい。

 

ということです。あなたも感じたことがあるのではないでしょうか?プロの写真全てが盛って加工しているというわけではありませんが、そう感じている人はかなり多いと思います。

 

なので、僕のクライアントにはHPやチラシ等はプロが撮った写真を(なるべく盛らない加工しない)。SNSやブログには、主に撮り方を学んだスタッフの方が撮影したナチュラルな写真を使うのがいいですよと伝えて、写真撮影と写真講座をご依頼下さるケースもあります。 

 

②撮影とメディアがセットならばカメラマンに勝ち目はない

広告や情報発信において、写真撮影の目的は写真ではなく、あくまで見込み客に情報を届ける為の1つの素材が欲しいという目的に過ぎません。その素材として、プロの写真よりも一般の方が撮られた写真の方が反応率がいいのであれば、プロの写真を使う理由は無くなります。

 

そして、どちらにせよ撮影された写真は売上アップや認知度アップに貢献できるように、何かしらの媒体で使われます。

 

それを考えた時、より反応率の高い写真とその写真をほぼ確実に多くの人が見てくれるメディア掲載がセットになっているのであれば、カメラマンに依頼する理由がさらに無くなります。

 

先ほどのインスタグラマーブツ撮り出張サービスでは、通常98,000円で15〜20枚程度の納品になります(小物セットは5パターンまで)。一般的にカメラマンに98,000円を支払う予算があれば、同じ枚数でもクオリティは変わってくるでしょう。ただ、98,000円かけて写真をお願いしても、その写真を見込み客に届ける為には更にコストが必要になるケースが多いはずです。そして、コストだけでなく手間もかかり、且つSNSではあまり反応率が上がらないとなると、インスタグラマーブツ撮り出張サービスに問合せが殺到するのは当然のことです。

 

③広告媒体比に変動がおきればプロの写真の需要が減る

ナチュラル感のある写真が求められるのはSNSだけかもしれません。HPやチラシではプロの写真を使った方が反応率は上がるのではないかとも思います。なので、急にプロの写真の需要が無くなるということはないと思いますが、問題は広告媒体比におけるSNSが占める割合が増えていけば、それだけプロの写真が求められる市場が縮んでいくということです。

 

下記の画像をご覧下さい。

 

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出典:ICT総研|市場調査・マーケティングカンパニー

 

このグラフは近年のSNS利用者数ですが、年々利用者が増えているのが分かります。なので、企業が見込み客に情報を届ける媒体としてSNSを選択するのは当たり前の時代になりつつあります。この現象はおそらく今後もどんどん進んでいくと思いますが、そうなると写真撮影の目的自体も変化していき、プロの写真が使われる広告がどんどん減っていく可能性が高いです。

 

そして、カメラマンが懸念しなければいけないのは、消費者の求める写真に変化が起きており、インスタグラマー出張サービスの方が費用対コストが良いと気づいている人は意外に多いということです。問合せが殺到していることが事実であるなら、今後5年10年という短いスパンで広告媒体の比率は大きく変わっていくかもしれません。

 

 

そんなことはありえない?

時代の変化による技術の進歩、ニーズの変化のスピードはどんどん早くなっていってます。レコードの時のように、フィルムの時のように、時代の変化による世代交代が広告業界にも起きてしまうと考えることは、ありえないことでしょうか?

 

もちろん、カメラマンという業界の中でも様々なカテゴリがあるので、影響がほとんどないカメラマンもいらっしゃるかと思います。しかし、僕自身広告用の写真を撮ることも多いカメラマンですが、個人的には自分の市場が一気に減っていく危機感を感じています。

 

何かが世代交代する時、

 

  • そんなことはありえない
  • なんだかんだで既存のものが生き残る

 

そんな声は必ず出ます。しかし、僕たちはそうした声が多くある中でも、時代の変化により新しいものに置き換わる現象を目の当たりにしてきたはずです。

 

カメラが普及したことにより、写真館がどんどん減っていっています。また、カメラが一般化したことでカメラマンへ転身するハードルがグッと下がったことにより競争は激化し、昔のように広告代理店や印刷会社からの仕事だけで食べていける時代はもう終わりました。フィルムからデジタルに変わったのをきっかけに、機材の進化についていけなくなって廃業したカメラマンもいます。

 

これからもどんどん変化が起こる。そのことに危機感を覚える為の情報は十分出揃っているのではないでしょうか。