カメラマンの知恵

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一眼レフではなくミラーレス一眼を使うカメラマンが増えてる理由



最近、周りのカメラマンの話やいろんな記事を見ていると、一眼レフではなくミラーレス一眼で仕事をしているという人が多くなってきています。僕自身も撮影機材一式をミラーレス一眼に変えて1年半ぐらいですが、正直なところ一眼レフを選択するメリットがないというのが個人的な感想です。

 

ただ、それは撮影する被写体や撮影スタイルによって意見が分かれるところではありますので、一眼レフが必要なケースとそうでないケースを少し考えてみたいと思います。

 

 

ハイスペックなミラーレス一眼の登場により、一眼レフの存在が薄れてきた現代

まず、一眼レフを必要としないケースの話です。僕自身が一眼レフからミラーレス一眼に変えるきっかけとなったのは、フルサイズ一眼レフの重量です。大きく重いフルサイズ一眼レフを持ちながらの撮影は正直しんどいと思うケースがあり、なんとか機材を軽量化できないかと考えていた時でした。

 

そんな時に、たまたま受講生さんの相談がきっかけで詳しく調べてみたオリンパスのE-M1がカメラもレンズも小型軽量になることに気づき、調べれば調べる程今の自分にピッタリではないだろうか?と思うようになりました。そして実際に購入してテストしてみたのですが、その完成度の高さに驚くことになります。

 

ピントが合うスピードも速く、カメラとレンズの個体差による前ピン後ピンが発生しないので、個体差同士の組み合わせを気にしなくていいだけでなく、AF精度は一眼レフ以上です。時々、近距離で斜めになっているところにピントを合わせると、意図した部分の前後にピントが合うケースがありますが、ミラーレス一眼はピント拡大とピントが合う場所を色で教えてくれるピーキング機能があるので素早く正確なピント合わせが可能です。他には、写真の明るやゴースト・フレアの出現がリアルタイムに分かるメリットも大きいです。

 

この、小型軽量であることと使い勝手の良さをカメラマンが知ってしまったら、むしろミラーレス一眼を選択しない理由がないと思います。それぐらい、E-M1は快適に撮影ができました。

 

E-M1の快適性は別記事で解説しているので、具体的な内容を知りたいという方は下記をご覧ください。

 

 

 

そんなミラーレス一眼でも使えない理由がある人

個人的にはE-M1でも十分な性能ですが、人によってはそれでも一眼レフを使いたいというケースはあると思います。その理由はいくつかあります。

 

電子ファインダーのタイムラグ(解決済

ミラーレス一眼は光学ファインダーではなく、電子ファインダー(以下EVF)を採用しています。EVFのメリットは、先ほども触れた通りマニュアルでピント合わせをする時に拡大できることや、ピント位置を色で教えてくれるピーキング機能があること、そして写真の露出やゴースト・フレアの出現がリアルタイムに分かること等です。しかし、表示の遅延があります。EVFに表示される映像が実際の映像とタイムラグがあることから、一瞬のシャッターチャンスを逃したくない人にとってはミラーレス一眼を躊躇する理由になってしまいます。

 

しかし、富士フイルムのX-T2やオリンパスのE-M1 MarkⅡなどは、人が遅延を感じないぐらいの反応速度になっていて、タイムラグが事実上全くないと言えます。EVFの表示はX-T2ならバッテリーグリップをつければ100フレーム/秒以上、E-M1 MarkⅡはバッテリーグリップなしでも【フレームレート】の設定を高速にすれば120/フレーム秒の滑らかな表示になっているので、今までのEVFがダメだと思っていた方は是非試してみてください。

 

電池の保ち(今後も課題だが実用的

ミラーレス一眼の課題の一つはバッテリーの保ちです。これは物理的にバッテリーが小さくなってしまうミラーレス一眼の宿命かもしれませんが、E-M1でも通常の撮影だとそこまでバッテリーの減りがめちゃくちゃ早いというわけではありません。4時間から6時間、約1000枚ぐらい撮影するようなシチュエーションなら、余裕で1つのバッテリーで撮影できて、バッテリーの減りは1/2か2/3ぐらいです。ただ、冬場の撮影やライブビュー等を多用した場合はさすがに減りが早く感じるので、予備バッテリーは多めに持っていた方が安心ではあります。ちなみに、E-M1 MarkⅡでは撮影枚数も3割近く伸びており、低消費電力撮影モード時では950枚まで伸びます。

 

動体撮影の性能(E-M1 MarkⅡのみ現実的) 

ミラーレス一眼で動体撮影が一番実用的なのは、オリンパスのE-M1 MarkⅡでしょう。なぜなら、ミラーレス一眼で唯一のクロスセンサーを採用しているからです。ラインセンサーしか搭載していないE-M1やX-T2なども、その特徴を理解して撮影してやればある程度は撮影ができますが、アルゴリズム一新され、被写体に応じて設定が変えることができ、クロスセンサーが採用されているE-M1 MarkⅡが一番実用的です。

 

様々なレビューを見ますが、動体撮影はかなりの性能のようです。下記の記事で、MarkⅡ全般のレビューをまとめられていますので、気になる方は是非。

 

 

レンズラインナップ(人による

ミラーレス一眼が初めて発売された当初はレンズラインナップも乏しい状態でしたが、現在では各社ある程度のラインナップになっています。人によっては揃わないというケースもあるかもしれませんが、とくにフジフイルム、オリンパス、パナソニックは、ほとんどの種類が揃っているのでレンズの選択で悩むことはないと思います。

 

ソニーは若干まだ揃いきっていない感じがしますが、シグマのレンズがアダプターを介して使用することができるので、サードパーティ製のレンズを含めるとある程度揃えられるという印象でしょうか。

 

レスポンスの良さ(フラッグシップのみ

ミラーレス一眼はカメラによっては全体的な動作が遅いものがあるので、レスポンスよく撮影したいという場合は各メーカーのフラッグシップモデルを使う必要があるかもしれません。ちなみに、E-M1 MarkⅡは全体的なレスポンスも早くなっているのでミラーレス一眼の中ではトップクラスの快適性になっています。そういう意味でも、カメラマンが使うカメラとして成熟してきたと言えるでしょう。

 

仕事で使えるレベルになってきたミラーレス一眼

個人的には初代のE-M1でも十分なレベルになってきましたが、E-M1 MarkⅡの登場によりさらに安心して仕事でも使えるカメラになってきました。新しく発売された12-100mm F4のレンズと組み合わせれば1秒というシャッター速度でも手ブレしない写真が高確率で撮れるぐらい手ぶれ補正が強力になったので、取材系の撮影はこれ一本でほとんど撮るという人もでてきました。300mm F4のレンズも動体撮影で実用的になったようなので、動体撮影をメインにしている人にとっても、小型軽量にできるオリンパスのシステムは魅力的ではないでしょうか。

 

富士フイルムのX-T2はクロスセンサーこそ搭載されていないものの、操作性がかなり良くなり、単焦点レンズに手ぶれ補正がついていないとは言えレンズの選択肢が豊富です。動体撮影以外の仕事なら問題なく使えるレベルになっていると思います。

 

レスポンスを必要としないなら、ソニーのα7シリーズも選択肢に入ってくると思います。すでに、風景写真家の方の多くがα7を使われています。

 

今後、さらに性能アップ、操作性の向上を図ったカメラが登場してくるはずなので、2017年からは本当に一眼レフの存在意義が脅かされる時代になっていくでしょうね。とは言え、一眼レフももしかしたらこれからさらに進化していくかもしれません。これからが楽しみです。