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カメラマンの知恵

独学でカメラマンになりたい人や今現在カメラマンの方に役立つ話を書いていきます

キヤノンからの回答「5000万画素に対応するレンズ組立精度は現状安定的に出せない」


ことの発端は、TS-E24mm Ⅱをアダプターを使ってマイクロフォーサーズのカメラで使用した時のこと。テストをしてみると、どうしても絞り開放では左側がボケてしまいます(鑑賞距離でもよーく見たら片ボケが分かる程度、100%に拡大したら明らかに分かる程度。F5.6まで絞ればなんとか改善。)。片ボケのレンズに当たってしまったんだなと思い、信頼できるキヤノンの正規修理代行店に依頼しました。

 

僕が最初に依頼した代行店は、プロカメラマンからも絶大な信頼があり、わざわざメーカーに出さずにその代行店に出すほどです。なので、てっきりすぐに直るもんだと思っていたら、代行店から驚く言葉を聞かされました。

 

「石田さん、今回お預かりしたレンズの片ボケは確認できませんでした。むしろ、精度は良好な方です」

 

僕は驚きましたが、とりあえずそのまま返却してもらいもらい一度確認することにしました。僕が確認したかったのは、他社製のカメラで使うことの弊害なのか、それともレンズの問題なのかということです。そこを明確にしないと、今後の対応もはっきり決めることができません。

 

手元に返ってきたレンズを確認する為、とりあえずそのまま実写テスト。もちろん、左側が片ボケします。そして、TSレボルビングでレンズを180度回転させてテスト。もしレンズが悪ければ、片ボケは右側に移動するはずです。この予想が的中し、片ボケは右側に移動しました。

 

このテストでレンズが悪い可能性が高いだろうと判断した僕は、再度代行店に依頼。代行店では部品交換は行われず、微調整をされたそうです。しかし、結果的に直ることはありませんでした。

 

ここで2一つの疑問が現れます。

 

①キヤノンは自社で5000万画素のカメラを出しているのに、レンズの精度は5000万画素に対等していないなんてことはあるのだろうか?ということ(マイクロフォーサーズはフルサイズの約1/4の面積なので、5000万画素の真ん中を使っている感じです)。

 

②TSレボリビングで片ボケが移動するのに、他社製のカメラで使用することの弊害という可能性があるのか?ということ。

 

これを確かめる為、僕はキヤノンに直接修理の依頼を行いました。依頼内容はこうです。

 

2000万画素相当では片ボケは目立ちませんが、5000万画素相当になると明らかに片ボケします。TSレボルビングで片ボケは右側に移動する為、レンズの問題だと思われますが、もし精度を確認する投影機で片ボケを確認できないようでしたら5Dsで実写にてご確認頂ければ幸いです。

 

このように依頼すると、一度目の依頼では片ボケは確認できたということで1群2群のレンズユニットと案内筒?が交換されました(僕の記憶では、この時は実写ではなく投影機を使ってチェックされたようで、本当に片ボケを確認できたのか?とう疑問は残りますが...)。

 

この修理で、かなり片ボケが改善されたのですが、まだ少し片ボケが残っていたので、試しにもう一度依頼をしたところ、今度はティルトユニットとレンズマウントが交換されました(一応伝票のリンクを貼っておきます)。

 

 

この2回目の修理で、絞り開放であっても鑑賞距離では分からない程度、100%に拡大してよく見たら分かる程度(少し絞ればかなり改善)まで改善されました。しかし、2回目の修理の際、僕の方からも依頼をしていたのでメーカーでも5Dsを使った実写テストをしてみたらしいのですが、投影機では問題ない精度でも実写ではどうしても片ボケが発生するということでした。

 

そこで担当者の方が本部に確認したところ、

 

今現在では、5000万画素に対応するレンズ組立精度を安定的に出すことはできない。これは、アオリレンズに限らず全てのレンズに言えることです。

 

という回答を得たらしいです。今回の僕みたいな、5000万画素相当に対応するレンズ精度を出してほしいという依頼はキヤノンにも多数寄せられているそうで、担当者曰く「今後の課題であり検討中です」と仰っていました。

 

 

 

僕はTS-E24mmの他にTS-E45mmもマイクロフォーサーズのカメラで使っていますが、45mmの方が画面全域で片ボケは確認できず、良好な画質です。レンズの特性でF2.8開放では全体的にソフトな印象ですが、F4からはそこそこ解像してF5.6ではカリカリではないものの必要十分な解像度になります。

 

ですが、今回の件が真実だとすると、キヤノンの5000万画素相当のカメラ、又はマイクロフォーサーズのカメラで使用した際に、片ボケしない精度を得るには部品交換による改善を運頼みで行うしかないかもしれません。

 

 

 

そこでふと思ったのが、ソニーとオリンパスが提携した話。ソニーとオリンパスの提携は主に医療分野での話がメインで、カメラ事業は主にコンパクトデジタルカメラにおいてお互いの強みを〜、という内容が表向きの発表ですが、一眼カメラを完全否定もしていないので、一眼カメラでもそれぞれのノウハウが活かされる部分があると思います(こんな噂もあります)。

 

その一つとして、オリンパスの技術提供による、ソニーのミラーレス一眼における高画素化に対応するレンズ組立精度の対応が挙げられるのでは?と勝手に想像しています。

 

ソニーには現在、4240万画素のミラーレス一眼があります。この後継機は、6000万画素や8000万画素になるかも?なんて噂もあるぐらいなので、おそらく5000万画素を超えることは確実でしょう。そこで問題となるのは、今回僕が体験したようなレンズの組立精度です。

 

キヤノンではアオリレンズは投影機を、通常のレンズでは投影機による結果を数値化してそのデータをチェックしているそうですが、投影機では5000万画素レベルの精度を見ることはできません。ソニーも同じだとしたら、早急に5000万画素レベルの精度を出す技術が必要になります。そこで、オリンパスの技術に着目していたのではないでしょうか。

 

オリンパスのイメージセンサーは小さいので、フルサイズの5000万画素の真ん中を切り取って使っている感じです。つまり、オリンパスならフルサイズ5000万画素に対応する精度を量産品であっても安定的に供給する技術がある。ソニーは医療分野を主に考えた提携だったかもしれませんが、そんなオリンパスの組立技術も一緒に欲しかったんじゃないかなと思いました。

 

実際に、今年に発表があったソニーのGMレンズについてのソニーのエンジニアのインタビューで

 

「G Master レンズのために、ソニーは50本/mmの空間周波数でレンズを評価することを決定した(通常レンズメーカーはソニーを含めて10本/mmと30本/mmを、ツァイスブランドのレンズは10本/mm、20本/mm、40本/mmを使用している)。100本/mmでの設計も可能だが極めて大きくかさばるレンズになり実用的ではないので、サイズと光学性能とのバランスがとても重要だ。

 

50本/mmは、40MPや4Kによって決定されたのではない。全てのFEレンズは既に少なくとも40MP対応で設計されている。我々はソニー製センサーのロードマップを知ることができるので、将来のセンサーに対応するFEレンズを開発している。G Masterは、永久に使えるレンズ群にしたい。」 

 

 

という話がありました(以下参照)。

 

 

このGMの組立精度技術の確保にオリンパスのが関わっているのかははっきり分かりませんが、ソニーがオリンパスと提携したかった理由の1つになるかもしれませんね。

 

 

 

そういう意味では、今後3000万画素、4000万画素以上の画素数で、片ボケのない良好な精度で撮影がしたいという場合は、ソニーのカメラを使うという選択肢も考えた方がいいかもしれません。MTF特性図は組立後の性能なので、50本/mmの空間周波数でレンズを評価をすることを選択したソニーは、高画素機の中では今のところ一番精度が安定しているのではないでしょうか。

 

もちろん、キヤノンがこのまま何もしないということはないと思いますが、今すぐ高画素なカメラを使いたいという人は悩ましい問題ですね。

 

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